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公開日: 2023.07.21

更新日: 2024.11.22

【高齢者向けビジネス】高齢者市場の特徴やマーケティング課題、新規サービス事例について解説!

近年、超高齢社会へと突入している日本において、企業の需要が高まり続けているのが「高齢者市場をターゲットとした新規事業」です。医療や介護だけではなく、食料・家具・不動産・被服・教育・娯楽・交通・通信・金融・農業など幅広い産業がシニア向けサービスを展開されることが予想されます。海外と比較しても日本は高齢化の分野において、世界の最先端的存在であり、アメリカや中国などこれからの高齢化を迎える諸外国のロールモデルになっていくことはほとんど間違いありません。実際に、シニアビジネスに関する論文も近年増えてきています。

少子高齢化による高齢者人口の増加にともない、日本国内で製品開発やサービスを展開する企業にとって「シニア市場規模」は年々拡大し続けています。

多くの企業がシニア市場へ参入していて、ビジネスとしては比較的レッドオーシャンの状態とは言えますが、シニア層のインサイトや本質を掴みきれていない企画・広告を打ち出す民間企業も依然として少なくなく、チャンスは大いに見込めることでしょう。未だ確立された高齢者向けのビジネスモデルは見つかっていないのです。

ここでは、 国内最大級のシニア向けコミュニティメディア を軸に展開しているオースタンスの知見を活かし、今後の高齢者市場を対象とした新規事業のあり方について解説していきます。

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高齢(シニア)の定義

高齢者向けビジネスを展開する上で、まず押さえておくべきは「高齢者」や「シニア」の定義です。一口に高齢者といっても、その定義は組織や法律、ビジネスの文脈によって異なるため、ターゲット設定の際には注意が必要です。

世界保健機関(WHO)では65歳以上を高齢者と定義しており、日本の法律でも高齢者医療確保法において65歳以上を高齢者としています。さらに、65~74歳を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と区分しています。

一方、日本老年学会・日本老年医学会は2017年に「高齢者に関する定義検討ワーキンググループ報告書」を発表し、65~74歳を「准高齢者」、75~89歳を「高齢者」、90歳以上を「超高齢者」とする新たな定義を提言しています。この提言の背景には、高齢者の身体的・精神的機能が若返っている現状があります。

出典:日本老年学会・日本老年医学会「高齢者に関する定義検討ワーキンググループ報告書 」https://geront.jp/news/pdf/topic_170420_01_01.pdf

ビジネスの文脈では60歳以上をシニア層とみなすケースが多く見られます。これは定年退職後の世代を広く対象とするためです。

さらに興味深いのは、当事者である高齢者自身の認識です。リサーチ・アンド・ディベロプメントの調査によれば、20代から50代までは、シニアのことを平均で63歳ぐらいと答えています。 一方で、60代に差し掛かるとシニアだと認識する年齢は一気に上がり始めます。 このことから、 70代ぐらいになると自他共にシニアを認めることが分かり、公的な定義よりも高い年齢を高齢者の基準と考えている傾向が見られます。

総務省の統計によれば、2024年時点で65歳以上の人口は約3,625万人に達し、総人口に占める割合は29.3%と過去最高を記録しています。この数字は今後も増加が見込まれており、2065年には約2.6人に1人が高齢者になると予測されています。

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出典: 総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者」

このように、高齢者の定義は一様ではなく、公的な基準では65歳以上とされる一方で、ビジネスでは60歳以上、当事者の感覚では70代前半が基準となっています。高齢者向けビジネスを展開する際は、こうした定義の違いを理解し、自社のターゲットとする年齢層を明確にすることが重要です。

高齢者向けビジネスの特徴

高齢者向けビジネスは、単に年齢層をターゲットにするだけでなく、その世代特有のニーズやライフスタイルに対応したサービスを提供することが特徴です。

現代の高齢者は健康維持や安全な暮らしといった基本的な要求に加えて、質の高い生活や自分らしい生活を送りたいという意識が強くなっています。品質にこだわった健康食品、日常的な介護用品、心身を活性化させるレクリエーションなど、生活の質を高めるサービスが好まれる傾向にあります。

特に注目すべきは「アクティブシニア」と呼ばれる層です。「一般社団法人日本アクティブシニア協会」によると、アクティブシニアとは前期高齢者(65~75歳)で定年退職後や還暦後も、趣味やさまざまな活動に意欲的で元気な高齢者のことを指しています。

この層は旅行、趣味、学習といった活動に積極的で、ITツールの活用にも前向きです。従来の「高齢者=支えられる存在」というイメージとは異なり、自ら楽しみを見つけ、社会との関わりを持ち続けることに価値を見出しています。消費意欲も高く、新しい体験や学びへの関心が強いことが特徴です。

また、高齢者向けビジネスはリピーターが定着しやすいという特性があります。行動範囲が限られることや新しいサービスを試すことへの慎重さから、一度満足すれば継続利用する傾向が強く、他社への乗り換えも少ないとされています。

高齢者向けビジネスの主な分野・種類

高齢者向けビジネスは非常に幅広い分野にわたっており、ここでは代表的な5つの分野について解説します。

健康・介護サービス

高齢者の健康維持や介護ニーズに応えるサービス分野です。

介護施設の運営や在宅介護サービス、介護用品の提供、医療機器や医薬品関連などが含まれます。自宅で安心して暮らせるよう訪問介護員が日常生活を支援する居宅介護サービスや、日中に高齢者を預かってケアを行うデイサービスがあります。

要支援・要介護高齢者向けの福祉用具や補助具のレンタル・販売も盛んです。医療機器では血圧計や補聴器、在宅ヘルスケアサービスなど医療・ヘルスケア分野も拡大を続けています。

リハビリテーションやフィットネスもこの分野に含まれ、怪我の回復訓練から健康増進まで、リハビリ専門施設や高齢者向けフィットネスジムへの需要も高まっています。介護・健康系サービスは常に一定の需要があるため、長期的に安定したビジネス展開が期待できます。

住宅・生活支援サービス

高齢者の居住環境や日常生活を支える分野です。

高齢者向け住宅や老人ホームなどの施設運営が典型例です。施設へ入所して24時間ケアを受ける施設サービス、自宅に専門職が訪問する居宅サービス、施設と在宅の中間的な地域密着型サービスに分類されます。

施設系では、入居者が日常生活の介助やリハビリを24時間体制で受けられる有料老人ホームや特別養護老人ホームが代表的です。居宅サービスでは、介護福祉士やヘルパーが自宅を訪問し、入浴や排泄の介助、買い物代行など生活援助を提供します。

高齢者の日常生活を支援するビジネスとして家事代行サービスも人気です。炊事・洗濯・掃除など高齢になると負担になる家事を代わりに行うもので、高齢者が快適に自立生活を続ける助けとなります。移動支援では送迎・運転代行も注目されており、運転が難しくなった高齢者の代わりに通院や買い物に送り迎えするサービスが安全な移動手段を提供しています。

趣味・娯楽サービス

高齢者の生きがいづくりや楽しみに寄与する分野です。

かつて高齢者の娯楽というと囲碁や将棋、ゲートボールなど限られたイメージでしたが、現在では趣味・娯楽の内容も非常に多様化しています。園芸、俳句、料理教室といった文化・創作活動へのニーズも高まっています。

趣味や娯楽に熱中することは脳の活性化や仲間との交流促進につながり、健康面にも良い影響を与えるため、高齢者の楽しい日常に欠かせない分野です。

スポーツ系では昔から親しまれているゲートボールのほか、グラウンドゴルフが近年人気を博しており、それに関連した用具販売や大会運営なども新たなビジネスとして注目されています。また、高齢者向けのゲームセンターなどユニークな施設も登場しています。

シニア世代の趣味嗜好は幅広く、高齢者自身も新しい体験や学びに意欲を示す人が増えているため、趣味・娯楽サービスは心の充実を支えるだけでなく、ビジネスチャンスとしても成長が期待できます。

飲食サービス

高齢者向けの食のサービスも大きな需要を集める分野です。

特に注目されるのが宅配・配食サービスで、自宅まで栄養バランスの取れた食事を届ける仕組みです。高齢になると買い物や調理が負担になるケースも多いため、プロが調理したお弁当を定期的に届けてもらえるサービスは好評です。

新型コロナ禍で外出自粛が広がった際には、高齢者向け配食サービスの需要が急増し、市場が急成長しました。配食サービスを利用すれば高齢者は料理の手間を減らしつつ栄養管理ができ、さらに宅配員が訪問時に利用者の安否を確認できる点もメリットとされています。

日々の食事を届けることで万一の異変に気づける見守り効果も期待できるため、高齢者本人だけでなく離れて暮らす家族にも安心感を与えています。そのほか飲食分野では、高齢者向けのやわらか食・嚥下食の開発や、栄養補助食品・サプリメントの提供、外食産業でもバリアフリーメニューや減塩メニューの充実など、高齢者が安全においしく食を楽しめるサービスが求められています。

見守り・コミュニケーションサービス

高齢者の安全確保や孤独感の解消を目的としたサービス分野です。

見守りサービスとしては、離れて暮らす高齢者の様子を定期的にチェックする訪問・通報サービスや、センサーやIoT技術を活用して異常時に通知する仕組みなどがあります。自治体や民間企業による高齢者見守りネットワークでは、郵便配達員や宅配員が業務中に高齢者宅の異変に気づいた場合に報告する取り組みもあります。

テクノロジー面では、緊急通報ボタン付きの見守り機器や、在宅センサーで生活リズムの乱れを検知するサービスなどが普及しつつあります。これらは高齢者本人の不安を取り除き、家族に安心感をもたらす代表的なソリューションです。

コミュニケーションサービスでは、高齢になると社会的なつながりが減り孤独を感じる方も少なくないため、高齢者向けコミュニティサイトや電話相談サービス、サークル活動の場を提供する高齢者サロンなどが展開されています。最近ではスマートフォンやタブレットの普及を背景に、シニア向けSNS講座やオンライン趣味サークルなど、デジタル技術を活用して高齢者同士や家族との交流を促進するサービスも増えています。

高齢者ビジネスの市場について

高齢者向けビジネス市場は、急速な高齢化に伴い年々規模を拡大しています。

みずほ銀行産業調査部の試算によれば、2023年のシニア関連市場は、医療29.0兆円、介護11.7兆円、生活産業55.7兆円と合計96.4兆円に上ります。この市場規模は、シニア人口の変化を踏まえて延伸すると、2040年には114.7兆円に拡大する見込みです。わずか17年で約1.2倍に成長する計算であり、高齢化の進行を考えれば妥当な見通しといえます。

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出典: みずほコーポレート銀行 産業調査部「高齢化先進国ニッポンにおけるシニア市場のポテンシャルへの着眼」

市場の内訳を見ると、医療市場は2023年度の29.0兆円から2040年度には38.7兆円へ、介護市場は11.7兆円から15.6兆円へ、生活産業は55.7兆円から60.5兆円へと、医療・介護・生活の各分野でまんべんなく拡大が続くとされています。特に医療分野はシニアの増加と医療の高度化により、介護分野は要介護者数の増加により、それぞれ伸びが見込まれています。

注目すべきは、人口減少により全世代の国内消費市場は縮小傾向にある中で、シニア世帯の消費支出は堅調に推移すると予想されることです。シニア関連市場は縮小する国内消費市場を下支えする重要な役割を担うと期待されています。

内閣府が公表している高齢化の推移と将来推計によると、2025年には65歳以上が総人口の30%となり、2040年には35%になると予測されています。このように高齢者市場は今後も成長を続ける有望市場であり、多くの企業が参入を狙っています。

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出典:内閣府「高齢化の推移と将来推計」

一方で参入が相次ぐ結果、すでに競合が多いレッドオーシャン化との指摘もありますが、近年では遠隔医療やスマートホームなどデジタル技術を活用した新領域も注目されており、まだまだビジネスチャンスの余地は大きいといえます。

高齢者向けビジネスのメリット

高齢者向けビジネスで起業・参入することには多くのメリットがあります。ここでは主な4つのメリットについて解説します。

市場規模が拡大している

高齢者市場は今後も拡大が期待できる成長市場です。

人口減少で他の多くの市場が縮小傾向にある中で、高齢者向けビジネスは数少ない有望分野として位置付けられています。高齢者数の増加に伴いサービス需要も長期的に底堅く、安定した収益を見込める点が大きなメリットです。

将来にわたって顧客層である高齢人口が拡大するため、ビジネスの成長余地が大きいといえます。日本の社会構造の変化を考えれば、この傾向は今後数十年にわたって続くことが予想され、長期的な視点でビジネスを展開できる点も魅力です。

多様なビジネスが存在しており参入しやすい

高齢者向けビジネスは業種・業態が非常に幅広いため、異業種からでも参入しやすい土壌があります。

介護サービスやリフォームといった専門的な分野だけでなく、代行サービス、配食サービス、趣味サークル運営など、特別な資格や高度な設備投資がなくても始められるビジネスも数多く存在します。

実際に、食品業界やIT業界など全く異なる分野からシニア向けサービスに新規参入するケースも増えています。このようにビジネスモデルの選択肢が広く、自分の強みや資源を活かせる形で参入できる点はメリットです。既存の事業とのシナジーを生かした展開も可能であり、企業規模を問わず参入機会があります。

収益化しやすい

高齢者向けビジネスは収益性が高いといわれます。

その理由の一つは、介護サービスなどでは国から介護報酬や補助金を受けられる場合があることです。公的支援の下支えがある分、安定収入につながりやすい側面があります。

また現在のシニア世代、特に団塊の世代以降は若い世代に比べ貯蓄額が多く経済的に余裕がある傾向が指摘されています。そのため、金銭的ゆとりのあるシニア層をターゲットにできれば単価の高いサービスでも受け入れられやすく収益を上げやすいといえます。

さらに高齢者は一度顧客になれば継続利用する傾向が強く、安定した売上が期待できる点も収益性に寄与します。リピート率の高さは、マーケティングコストの削減にもつながり、長期的な収益性を高める要因となります。

社会貢献につながる

高齢者向けビジネス最大の魅力は、社会貢献性が高いことです。

高齢者やその家族が抱える困りごと、介護負担、健康不安、孤独などを解消し、生活の質を向上させるサービスを提供できるのは大きなやりがいとなります。

単に利益を追求するだけでなく、高齢化社会の課題解決に資する仕事であるため、ビジネスを通じて社会に良いインパクトを与えることができます。利用者から感謝される場面も多く、事業者自身にとっても働きがい・生きがいを感じやすいといえます。

こうした社会的意義の高さは高齢者ビジネスならではのメリットであり、従業員のモチベーション維持や採用活動においてもプラスに働く要素となります。

高齢者向けビジネスのデメリット

メリットの多い高齢者ビジネスですが、注意すべきデメリットや課題も存在します。

保険制度の見直しなどの影響を受けやすい

介護や医療に関わるサービスでは、公的保険制度の変更に事業環境が左右されるリスクがあります。

介護保険適用のサービスでは、収入の多くを介護報酬が占めますが、この介護報酬は国の財政状況や制度見直しにより3年ごとに改定されます。制度改正で報酬単価が下げられたり利用者負担が増えたりすれば、事業収益が圧迫される可能性があります。

実際に制度変更によって特定サービスの採算が悪化し、撤退に追い込まれる事業者も見られます。また医療分野でも診療報酬改定の影響があります。さらに国の方針次第では補助金制度が縮小・廃止されるリスクも考えられ、公的制度に依存したビジネスモデルの場合は注意が必要です。

このように高齢者向けビジネスは制度変更リスクに備え、柔軟に戦略を見直す体制を持つことが求められます。複数の収益源を確保するなど、リスク分散の視点も重要です。

認知されるまでに時間がかかる

高齢者層を顧客に獲得するには時間と工夫が必要とされています。

シニア層はネットやSNSを使いこなす人ばかりではないため、ウェブ広告やデジタルマーケティングだけで集客するのは容易ではありません。テレビや新聞折込チラシ、地域の回覧板など高齢者が馴染みのある媒体を組み合わせたり、地域包括支援センターなど既存ネットワークと連携するなどの工夫が不可欠です。

そのため、新規事業がサービスの存在を高齢者に認知してもらうまで時間がかかりやすい傾向があります。また競合他社が多い分野では、信頼を獲得して選ばれるようになるまで試行錯誤が必要です。

無名の事業者がシニア層の信頼を勝ち取るには、地道な口コミ構築や実績づくりに時間を要するケースもあります。加えて、人材不足も課題です。介護やサービス現場では慢性的に人手が足りず、スタッフ確保が難しいことから事業拡大が制約される場合もあります。

このように高齢者ビジネスは立ち上げ後すぐに大きな成果が出にくく、軌道に乗るまで腰を据えて取り組む覚悟が必要です。

高齢者向けの新規事業・マーケティング成功のポイント

高齢者ビジネスで成功するためには、他のビジネス以上に顧客理解と戦略的アプローチが重要です。以下に、成功させるためのポイントを解説します。

ターゲットを明確化する

一口に高齢者といっても、その中には体力も趣味嗜好も大きく異なる様々な層が存在します。

そこでまず肝心なのは、どのような高齢者を主な顧客ターゲットにするかを明確に絞り込むことです。例えば、まだ元気に自立生活を送れるアクティブシニアなのか、要介護度が高く外出困難な方なのかで、必要とするサービスもアプローチ方法も全く違います。

また、身体を動かすことが好きな人もいれば知的な趣味を好む人もおり、新しいもの好きの人もいれば保守的な人もいます。このように高齢者像は一様ではないため、年齢や要介護度、ライフスタイル、興味関心といった切り口で細かくペルソナ設定を行い、自社サービスのターゲットを具体化する必要があります。

ターゲット層を絞り込めば、その層のニーズや最適な訴求方法が見えてくるため、無駄なく効果的な商品・サービス開発やマーケティングが可能になります。特にシニア層相手では「高齢者全般」を漠然と狙うのではなく、「都会在住でデジタルに関心のある70代女性」のように具体像を描いて戦略を立てることが成功への近道です。

自社サービスのターゲットを具体化するため、弊社ではシニアの状況を捉える 「定量調査」と「定性調査」といった2パターンでのリサーチサービス を展開しています。

「定量調査」 とは、42万人を超える趣味人倶楽部のユーザーさまに対してアンケートを実施することで、シニア層が持つインサイトを明らかにするものです。

過去には「シニア層が持つスキンケアへの興味」や「シニア層が持つ運動習慣についての関心」といったトピックの調査をおこないました。その結果、新商品開発のヒントにつながったり、イベントやレッスンの実施につながったりと、様々な形で企業さまのお力添えをしてまいりました。

「定性調査」 とは、趣味人倶楽部のユーザーさまに対して「デプスインタビュー」をおこない、生の声や背景、考え方などをより深掘りしていく調査です。過去には「ファッションセンスの高いシニア女性がどんなバッグを求めているのか」という題目でユーザーさまにインタビューをおこないました。その結果、自由回答ではなかなか得られにくいような深い部分まで掘り下げた意見を集めることができ、クライアントさまが持つコンテンツのブラッシュアップにお力添えすることができました。

わたしたちは、シニア層の動向やニーズを「マクロ視点(定量調査)/ミクロ視点(定性調査)」といったふたつの視点で見つめ、調査し、クライアントさまのお力になれればと考えています。ぜひ一度、お問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。  

馴染みのある商材やサービスを選ぶ

高齢者は新しいトレンドにも意外と敏感な一方で、やはり自分に馴染みのある商品やサービスを好む傾向が強いです。

最新のテクノロジーを駆使した斬新なサービスよりも、昔から慣れ親しんできたレトロな商品や従来型のサービスの方が安心して受け入れられるケースも多々あります。例えば、若者にはスマホゲームが人気でも、高齢者には昔ながらのゲームセンター通いが根強い人気を集めていたりします。

これは馴染みある環境であればこそ楽しめるというシニア心理の表れです。したがって商品・サービス選定においては、高齢者にとって親しみやすいテーマや形式を取り入れることが大切です。

もちろん全てを古臭くする必要はありませんが、最新ガジェットを使ったサービスを提供する場合でも操作を簡便にするとか、過去に流行したデザイン要素を盛り込むなど工夫すると良いでしょう。シニア層は長年の生活習慣や経験から来る好みやこだわりを持っています。

その点を踏まえて、「これは自分にも使えそうだ」「昔を思い出して楽しい」と感じてもらえるような企画にすることが、マーケティング成功のポイントです。

おすすめの高齢者向けビジネス

ここでは、具体的に需要が高まっていて取り組みやすい高齢者向けビジネスの例をいくつか紹介します。

運転代行・介護タクシーサービス

高齢者の移動を支援するサービスです。

高齢になって運転に不安を感じる人や、免許返納後で自力では遠出できない人向けに、ドライバーが付き添って安全に目的地まで送迎します。自動運転技術への期待もありますが、一般普及には時間がかかるため、現実的には人が運転を代行するサービスにニーズがあります。

介護タクシーは車椅子利用者でも乗降しやすい車両で病院送迎などを行うもので、高齢者やその家族に重宝されています。送迎だけではなく、介護まで含まれているケースも多く、送迎から介護までのサービスが受けられます。

一定の条件を満たすことができれば介護保険も適用できます。運転代行・送迎サービスは比較的小資本・短期間で開業可能で、地域の高齢者から信頼を得ればリピーターにつながりやすいビジネスです。車移動が欠かせない地方部では特に需要が大きく、今後も市場拡大が見込まれる分野です。

パソコン・スマホ教室

シニア世代にパソコンやスマートフォンの使い方を教える教室ビジネスです。

行政のデジタル化やオンラインサービスの普及により、IT機器を使えないと日常生活に支障が出る場面が増えています。しかし高齢者の中には操作に不慣れな方も多く、デジタルデバイドの問題が深刻化しています。

そこでニーズが高まっているのが少人数制のスマホ教室や個別指導のパソコン塾です。基本的な操作からネットでの買い物、SNSでの連絡の取り方まで高齢者のペースに合わせて丁寧に指導することで、生活の利便性向上や孤独感の解消につながります。

教材は市販のものを使えるほか大きな設備投資も不要で、固定費が低く始めやすいビジネスでもあります。講師1人でも運営可能であり、自宅の一室や地域の集会所などでも開講できます。

昨今はスマホ決済やオンライン診療などIT必須のサービスも増えているため、高齢者の「わからない、困った」を支えるこのビジネスは今後ますます必要とされるでしょう。

リハビリサービス

高齢者を対象にしたリハビリテーション支援サービスも有望です。

高齢になると筋力低下や関節の痛みなどが生じやすく、怪我や手術後の回復訓練が必要な人も増えます。病院のリハビリだけでなく、日常的に運動機能を維持・向上させるためにリハビリ専門のデイサービスやフィットネス施設へのニーズが高まっています。

最近では「リハビリ」という言葉の堅苦しさを和らげ、高齢者向けフィットネスジムやリハビリ体操教室といった形で楽しく続けられるサービスも登場しています。例えば平行棒やエアロバイクなど器具を備えたトレーニングルームで、理学療法士やトレーナーが指導するものです。

高齢者本人は健康寿命を延ばすことができ、家族にとっても介護予防につながるメリットがあります。リハビリサービスは一度利用すると継続しやすく、長期的な利用による安定収入が見込めます。専門知識が必要な面もありますが、医療・介護資格者と連携すれば比較的スムーズに事業化できるでしょう。

宅配飲食サービス

高齢者向けの宅配食事サービスは、今後さらに需要が拡大すると期待される分野です。

毎日の食事作りが負担な高齢者に代わり、栄養バランスのとれた食事を定期的に届けるこのサービスは、高齢者の健康維持と家族の安心に大きく貢献します。配食サービスを利用すれば、調理の手間が省けるだけでなく栄養管理も専門家任せにできるため、高齢者は無理なく適切な食生活を送れます。

さらに配送スタッフが毎日訪問することで安否確認にもなり、一人暮らしの高齢者には心強いサービスです。最近は民間企業のほか、生協やコンビニエンスストアなどもシニア向け配食に参入し、価格帯やメニューの選択肢が広がっています。

低糖質・減塩メニューや噛まなくても食べられるやわらか食など、高齢者の健康状態に合わせたコースが用意されているのも特徴です。宅配飲食サービスはリピーター率が高く安定収益を見込みやすいうえ、調理施設と配送ネットワークを整えれば規模拡大もしやすいでしょう。

高齢者本人とその家族双方から感謝される社会貢献度の高いビジネスとしても注目できます。

シニア向けビジネスで成功している企業のサービス・ビジネスモデルについては以下資料にてご紹介しております。

高齢者向け新規ビジネス事例

セコム株式会社

出典:セコム・ホームセキュリティ

セコム株式会社は、急病やケガなどの際に、救急通報で駆けつけるものから、ゆるやかに見守ることができるというニーズに応えることができる見守りサービスを展開しています。

急病やケガなどの際に握るだけでセコムに救急信号を送ることができる「マイドクター」やコミュニケーションを通して見守りを行う「あのね」等があります。

セコムさんは、高齢者に直接アプローチするわけではなく、高齢者を親に持つ子世代にアプローチする訴求をとることによって、市場全体のシェアを確立しました。

実際にサービスのランディングページには「親御さんについてこんなお悩みはありませんか?」という訴求が記載されています。

NTTファイナンス株式会社

出典:楽くらライフノート

NTTファイナンス株式会社は、終活で直面する様々なお悩みを解消するエンディングノートアプリを展開しています。

資産と家計を簡単整理でき、家族との情報共有・見守りをすることができます。終活をやっておけばよかったという後悔よりもやっておいてよかったという安心した状態を作るために、ニーズに応じたサービス開発に取り組み、リリースから2年待たずして6万件ダウンロードされています。

実は弊社が本サービスのUI/UXエキスパートレビューを担当させていただき、中高年・シニア世代の視点を踏まえ、オンボーディングや主要画面の改善を行いました。

チュートリアル設計や、アクションの明示など、中高年視点と実装観点を考慮したレビューを実施しました。

国内最大のシニア向けSNS趣味人倶楽部について

趣味人俱楽部とは

趣味人倶楽部とは、50~70代を中心とした月間3,000万PV、115万UUを誇る「おとな世代」向けのSNSです。

毎月、約1,600回のリアルイベント、約100回のオンラインイベントが開催されていて、旅行・カメラ・ゴルフ・カラオケ等で交流するアクティブ層が多いのが特徴です。

ECによる購買活動にも積極的なユーザーが多く、会員さまの半数以上が、月に5,000円以上のネット決済をおこなっているというデータがあります。

弊社株式会社オースタンスは趣味人倶楽部の利用者に対して定期的なアンケート調査や、年間200〜300回のインタビューを行なっています。そこで得られた情報を上の画像に記載しています。

趣味人倶楽部の利用者を見ると、会員の約40%が4半期に1回以上、「国内旅行」をするなど旅行への関心が高く、アクティブシニアの方が多いのが特徴です。また、不安なく日常を過ごせるように健康意識を高く持った方も多い傾向にあり、お金と時間にゆとりがある比較的富裕層に近い方が多くみられるのが特徴的です。居住地も日本の人口分布と同様であり、都会が多く地方や田舎が少なめになっております。

趣味人俱楽部を活用した事例

アートネイチャー|大人女性の美容イベントプロモーション

商品の関心度向上&来店・購買促進とコミュニケーション施策の検証を目的として、大人女性の髪型・メイク診断講座を実施した事例です。

結果として250名以上の方が参加し、イベント満足度98%かつ申し込み件数が想定の3倍の効果という結果になった施策です。

シニア向け新規事業支援事例

当社オースタンスは、国内最大のシニア向けSNS「趣味人倶楽部」の運営実績を活用し、シニア向け新規事業支援サービスを展開しています。ここでは、シニア向け新規事業支援事例をいくつかご紹介します。

味の素株式会社:認知症予防サービスコンセプト検証

味の素様が構想する「食・運動・睡眠データを活用した認知機能維持アプリ」の実用性を見極めるため、オースタンスはシニアを対象としたMVP(簡易版サービス)体験とインタビュー調査を実施しました。アプリ利用ログと日記アンケートから、学術的に効果があると言われる施策でも、ユーザー本人の“危機感の弱さ”や“継続ハードル”が事業上の壁になることが明確化。また、「認知機能ケアを目的にすると続かないが、生活改善や楽しさを入り口にすると参加しやすい」という示唆が得られ、サービスの方向性整理に活かされました。実際の生活行動を踏まえた検証プロセスにより、理論と現場感のギャップを埋めることができた事例です。

株式会社JTB:富裕層向け食体験サービス受容性調査

JTB様が検討する“自宅で楽しむラグジュアリーな食体験サービス”の事業性を見極めるため、オースタンスはシニア・富裕層を対象とした受容性調査を実施。食に対する価値観や支出傾向を詳細に把握することで、「常時お金をかけたい層」「ハレの日だけかける層」など複数のニーズが存在することが判明しました。また、当初はBtoC展開を想定していたものの、調査結果からBtoB型(企業イベント・富裕層コミュニティなど)との相性の良さが見え、サービス構成の方向性再検討に繋がりました。シニアの“生活シーンごとの嗜好”を丁寧に捉えることが、新規事業の精度を高める鍵となった事例です。

大和ライフネクスト株式会社:LINE×買い物代行サービス実証支援

郊外型団地の高齢化に伴い、住民の移動・買い物負担が大きくなっている背景から、大和ライフネクスト様はデジタルを活用した買い物代行サービスの検証に着手。オースタンスは、シニアの行動特性・デジタル習熟度に基づき、調査設計、LINE UI設計、募集導線、説明会マニュアルなど実証プロセス全体をサポートしました。結果、参加者のLINE利用率は100%、利用者の約8割が定着するなど、生活課題を捉えたサービス設計の有効性が確認されました。また、65歳以上だけでなく45歳前後でもデジタル操作の課題が生じるなど、世代横断での実態把握の重要性も明らかに。シニアの日常動線を踏まえた実証設計が、地域サービス開発の精度向上につながった事例です。

まとめ

どのような高齢者ビジネスを企画したとしても、次に必ず課題としてやってくるのが、「どうやってターゲットにアプローチするのか」「そもそも高齢者にニーズがあるのか」ということです。新規事業開発において、アクティブシニアの消費動向や特徴などを理解しておくことはとても重要になります。

これまでオースタンスが培ってきた知見や経験に基づき、事業における企画段階の参画から、具体的な施策のモニターや実験まで、様々な局面で事業開発のお手伝いをさせていただいております。また豊富なネットワークを生かし、アライアンスのご提案も可能です。

弊社はITを活用してシニア、お年寄りの方に生きがいやポジティブな変化を生み出し、「エイジングエネルギーあふれる社会」の実現をミッションに掲げる企業です。弊社とともに「エイジングエネルギーあふれる社会」の実現を目指していただける企業様とご一緒にお取り組みができますと幸いでございます。

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趣味人倶楽部を運営する株式会社オースタンスが保有するシニアの行動データや課題解決の知見を元に、シニアの研究をする専門家に参画いただき、共同で研究を推進します。シニア世代へのマーケティング活動のノウハウや、調査結果や行動特性の研究内容、リサーチ資料などを展開しているので、興味がある方はこちらからご確認ください。

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